堅そうな書名。電子書籍は買ってみたけど途中でつまらなくなって読み切れなくなったりしないかなと一抹の不安をもって買いましたが、まったくそんなことはなく、食い入るように読んでしまいました。
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圧倒的な取材量に裏打ちされた骨太のルポルタージュ
この本の著者の和田さんは、週刊誌記者を長年勤め、年金問題をライフワークにしてきた方。相当勉強され、取材してきたことが本文から伺えます。とにかく取材量がすごいです。
最近出た本とはいえ、20~30年の取材の蓄積によるもの。何かと悪者にされがちな年金官僚がいかに実直に仕事をしていたか、政治に翻弄された面など、まさに年金界のオーラルヒストリーを紡ぎあげたといってもいいかもしれません。
よく、マスコミとかジャーナリズムの世界で、新聞が格上、週刊誌は格下なんて序列意識を持った人がいますけど(いまどきそんなの思ってるの新聞業界の人だけかな。)、著者は、週刊誌ほど、その機動力とカジュアルさ(ちょっと無責任?)で、取材対象に食い込み、信頼関係も築いたからこそ、ここまでの本に結晶化させることができたのだと思います。
私は、をリアルで知ってる世代ですが、あの事件のことも懐かしく読ませてもらいました。
老後2000万円問題も年金と切り離せない
数年前、老後資金2000万円の問題が取りざたされ、年金給付だけでは老後生活を乗り切ることができないことが白日の下にされされました。
今や、「若いみなさん、年金保険料をちゃんと払いましょう」だけでなく、公的年金だけでは老後の生活費が賄えない可能性を見据えて投資で資産を築きましょうという面を含め、年金広報の在り方が「攻め」に変わりつつあるようです。
かつての江角マキコ年金未納事件やら、「消えた年金」などでズタズタになった旧社保庁からすると、年金をめぐる最新状況には隔世の感がありますね。