
千葉県鎌ヶ谷市長を5期(満了ではないので19年)務めた清水聖士氏。市長時代の経験を暴露した「市長たじたじ日記」を読みました。
どんな内容かというと
単なる市長の独り言かと思えばさにあらず。鎌ヶ谷といえば、プロ野球の北海道日ハムの2軍の練習施設・宿舎があるため、あの大谷翔平エピソードも盛り込まれているんですね。
普通、政治家の本といえば、俺はこれをやった的な、自慢話中心になりがちですが、この本は、いかにも政治家然とした人とは異なる、小市民が政治家になったゆえのエピソードがちりばめられていて読みごたえがあります。
とはいえ、この本(彼の政治生命)は実は後味が悪い終わり方をしています。清水氏が5期目の任期を満了していないのは、衆議院議員への転出に目がくらんで、総選挙に打って出て敗れたから。一国会議員よりも市長の方が部下は多いし、決定権はあるし、私の感覚では、首長の方がずっとやりがいがあると思うのですが、なにせ給料が安かったみたいです。大手商社出身ということを考えると、市長でも大手民間サラリーマン以下というのはなかなかつらかったのでしょうか。市長時代に住宅ローンを払い終えられなかったようですし。
総選挙に出る準備を始める際は、最初は、不祥事を起こした自民党現職の後任になる見込みだったのに、その人物がなかなか辞職しないので、浮気して維新で出馬する道に走ったのが敗因だったようです。
落選後の再就職も大変だったみたいですが、ある意味、「失うものは何もない」状態になったからこそ、ここまであけすけに、選挙の裏話なども書けたのだと思います。
だから私は著者に言いたい。
落選してくれてありがとう。
だって、落選がなければ、この本は陽の目を見なかったですから。
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価格:1430円 |